空の子パタタンと子ヒツジのウルン        作  かがい みえこ
    

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空の子パタタン と 子ヒツジのウルン
                かがいみえこ



 ぼくは ツバメのツンツンだよ。
ぼくのともだち、 パタタンのことを きいてよね。 

青い空に ぽかんと うかんだ雲みたいな パタタン。
大きな鼻に 小さな目、 大きなからだに 小さな耳。
きみは空とぶ かばさん みたいだね。
ほら とくいのうたを うたっているよ。
「ブンブン ブブンブ ブン チカチカチカ」
ごきげんだね パタタン。
あんまり空が青いから 水色のパタタンは すっかり空にとけて みえないんだね。
せなかの 白いつばさだけが わた雲みたいに みえるよ。
とってもおにあいだよ。

ほら、あそこの まきばで 子ヒツジのウルンが じっと下から きみをみあげているよ。




ウルンは 雲が だいすきなんだ。
だから じぶんも あの雲のように なりたいなぁって おもっているんだ。
 ウルンはね、ともだちが いないんだよ。
ほかの子ヒツジたちは みんなむちゃくちゃ げんきがいい。
あばれんぼうだしね。
ウルンは みんなから よわむしで のろまだって おもわれていてね。
あそんでもらえないんだ。
だから きょうも ひとりで 雲がながれていくのを おいかけて 上をみながら はしっているよ。
あっ、だめだったら! そんなに むこうみずに はしっていったら。
池があるよ。おちちゃうよ。
あっ、あっー。おちちゃったじゃないの!
 パタタン、おねがい! きみのでばんだよ! およげないウルンを たすけてあげて。 
 パタタンは 水鳥みたいに ヒューっと空から池におりていったよ。
そしてね、ウルンをだきかかえると 池からたすけだしたのさ。


どうぞお楽しみに